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PENDULUMが再び動き出す──ドラムンベースという音楽の「爆発」を知っているか

DJ PLUM

2026.05.12 Update

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この記事でわかること

  • 01.サマソニ2026に復活出演するPENDULUMを入口に、ドラムンベースという音楽ジャンルの本質に迫る。
  • 02.90年代UKから生まれたドラムンベースの歴史と、PENDULUMがなぜ「異端」だったのかを解説する。
  • 03.フェスで体感する前に知っておきたい、必聴5曲・3アルバムを厳選紹介。

「ドラムンベースって何?」

そう聞かれたとき、私はいつも同じ答えを返す。「音楽がいちばん速く、いちばん重くなった瞬間のことだ」と。

2026年8月、サマーソニックのステージにPENDULUMが帰ってくる。
活動停止から数年。完全体での復活は、単なるバンドの再結成ではない。
ドラムンベースという音楽が、再びメインステージの中心に立つ瞬間だ。

Electronic担当ライターとして、この機会にドラムンベースという音楽のすべてを伝えたいと思う。
PENDULUMを「名前は知っているけど詳しくない」という人も、「Electronicはよくわからない」という人も、この記事を読んでからステージに立ってほしい。
体感が、まるで変わる。

ドラムンベースとは何か──170BPMの物理

まず基本から押さえよう。
ドラムンベース(Drum and Bass、略称D&B)は、1990年代初頭にイギリスで生まれた電子音楽のジャンルだ。
その最大の特徴は「速さ」と「重さ」の共存にある。

テンポは通常160〜180BPM。
一般的なポップスが120BPM前後であることを考えると、その速さがわかるだろう。
しかしただ速いだけではない。
そこに「ベースライン」と呼ばれる極めて重低音の音が叩きつけられる。
高速のドラムと深く沈み込むベース──この二つの要素が、聴く者の身体を直接揺さぶる。

ジャングル、ガラージ、テクノ、ヒップホップのサンプリング文化が混ざり合い、ロンドンのアンダーグラウンドクラブシーンから生まれたドラムンベースは、1990年代後半には世界中のクラブで鳴り響くようになった。

ジャンル平均BPM生まれた場所特徴
ポップス100〜130メロディ重視
ハウス120〜130シカゴ四つ打ち、反復
テクノ130〜150デトロイト機械的、ミニマル
ドラムンベース160〜180ロンドン高速ドラム+重低音ベース
ダブステップ138〜142ロンドン半速感、ウォブルベース

PENDULUMが「異端」だった理由

2002年にオーストラリア・パースで結成されたPENDULUMは、ドラムンベースのシーンに登場した瞬間から「異端」だった。

当時のドラムンベースはクラブミュージックとして完全にアンダーグラウンドな存在だった。
ギターがある音楽ではなく、バンドが演奏する音楽でもなく、DJがターンテーブルで回すものだった。
ところがPENDULUMは、ドラムンベースのビートとベースラインの上に、ロック的なギターリフとメロディを乗せた。

「ロックとドラムンベースの融合」──それは既存のどちらのシーンからも「異物」として見られるリスクがあった。
しかし結果は逆だった。2005年のデビューアルバム『Hold Your Colour』は、ドラムンベースを「フェスで鳴らせる音楽」に変えた最初の作品として音楽史に刻まれている。

PENDULUMの軌跡──3枚のアルバムで読む進化

『Hold Your Colour』(2005)──衝撃のデビュー

ドラムンベースとロックの融合を初めて本格的に打ち出した作品。”Slam”、”Blood Sugar”など、クラブでもライブハウスでも機能する楽曲が並ぶ。今聴いても古びない強度がある。

『In Silico』(2008)──ロック色を強めた転換点

よりポップ・ロック寄りにシフトし、ドラムンベースを知らなかった層にも届いた作品。”Propane Nightmares”は彼らの代名詞的楽曲として今も世界中でプレイされている。

『Immersion』(2010)──到達点にして区切り

バンドとしての集大成。”Watercolour”、”The Island”など、フェスのメインステージを見据えた壮大なスケールの楽曲が揃う。この作品を最後に活動は長期休止へ。だからこそ2026年の復活は特別な意味を持つ。

ドラムンベースの系譜──PENDULUMの前後を知る

PENDULUMをより深く楽しむために、ドラムンベースのシーン全体を少し俯瞰してみよう。

Goldie──1995年の『Timeless』はドラムンベースをアート音楽として確立させた金字塔。
クラブミュージックがアルバムという形式で語られた最初期の作品のひとつだ。

The Prodigy──厳密にはドラムンベースではなくビッグビートだが、PENDULUMの「ロックとElectronicの融合」という方向性に最も近い先達。
“Firestarter”が生まれた1996年から、その路線は始まっていた。

Chase & Status──2000年代後半以降のドラムンベースをメインストリームに引き上げたUKデュオ。
ヒップホップやソウルとの融合で、ジャンルの間口をさらに広げた。

Noisia──オランダ出身のトリオで、よりダーク&テクニカルな方向性。
ドラムンベースの「深淵」を知りたい人への入口。

サマソニ2026で体感する前に聴いておきたい5曲

PENDULUMのライブに向けて、予習しておくべき5曲を厳選した。

1. “The Island Pt. I (Dawn)”──最もフェス映えする一曲。イントロの静けさから爆発するドロップの落差が圧倒的。

2. “Watercolour”──叙情的なメロディとドラムンベースの融合。入門者にも最もとっつきやすい一曲。

3. “Slam”──デビュー作収録。ドラムンベースの「速さと重さ」を最も純粋に体感できるトラック。

4. “Propane Nightmares”──ロック的なリフとドラムンベースが最も高い次元で融合した代表曲。

5. “Witchcraft”──ダークな世界観とキャッチーなメロディの共存。ライブでの盛り上がりは保証付き。

フェスで体感する「ドラムンベース」という物理現象

最後に、これだけは伝えておきたい。

ドラムンベースは、音源で聴くのと、大音量のスピーカーの前で体感するのとでは、まったく別の音楽だ。170BPMのドラムが空気を震わせ、ベースが胸の奥に響くとき、それはもう「聴く」ではなく「浴びる」という体験になる。

PENDULUMのライブはその極致だ。バンドとしての生演奏と、クラブミュージックとしての音響設計が融合した瞬間、会場全体が一つの生き物のように動く。

サマソニ2026、8月16日(東京)・8月14日(大阪)。
PENDULUMのステージに、ぜひ立ち会ってほしい。

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