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FEATURE J-POP

知らなかったのに、なぜか懐かしい──昭和歌謡が若い世代に刺さる理由

編集長AKIRA

2026.05.13 Update

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この記事でわかること

  • 01.シティポップの世界的再評価と並走するように、昭和歌謡への注目が若い世代の間で静かに高まっている。
  • 02.「懐かしいのに新しい」と感じさせる昭和歌謡の音楽的な構造と、時代を超える理由を読み解く。
  • 03.YOASOBIやあいみょんが好きな人ほど、昭和歌謡にハマる可能性がある

【YouTube埋め込み推奨箇所】
・h2「現代アーティストへの接続」の直下
→ あいみょん「マリーゴールド」またはYOASOBI「夜に駆ける」

「昭和歌謡って、おじさんおばさんの音楽でしょ?」

そう思っていた人が、ある日TikTokで流れてきた一曲に手を止める。
知らないはずなのに、なぜか懐かしい。
そのメロディがずっと頭から離れない──。

ここ数年、そういう体験をした若い人が確実に増えている。
昭和歌謡の再評価は、シティポップブームの延長線上で静かに、しかし着実に進んでいる。

編集長として、そしてロック・インディーを入口にして音楽を聴いてきた人間として、私がなぜ昭和歌謡に向き合うようになったのか。
そしてなぜ今この音楽が若い世代に刺さるのかを、MUSINAの視点から語りたいと思う。

昭和歌謡とシティポップ──海外から火がついた再評価

話は2010年代後半に遡る。
竹内まりやの「プラスティック・ラブ」がYouTubeのアルゴリズムに乗り、海外リスナーの間で爆発的にシェアされた。
日本では1984年にリリースされたこの曲が、30年以上の時を経てロサンゼルスやロンドンの若者に発見された瞬間だった。

この現象が象徴しているのは、「良い音楽に賞味期限はない」という事実だ。
そしてシティポップの再評価は、そこで止まらなかった。
「プラスティック・ラブ」を入口に日本の音楽を掘り始めた海外リスナーたちは、より古い時代──昭和歌謡──へと遡り始めた。

国内でも同じ動きが起きている。
シティポップで竹内まりやや山下達郎を知った若いリスナーが、「もっと古い日本の音楽」を求めて1960〜80年代の昭和歌謡に辿り着く。

昭和歌謡とは何か──時代と音楽の輪郭

改めて整理しておこう。
昭和歌謡とは、昭和時代(1926〜1989年)に生まれた日本のポピュラー音楽の総称だ。
ただし音楽的には非常に幅広く、演歌、ポップス、フォーク、グループサウンズ、アイドル歌謡など多様なスタイルを含んでいる。

時代主なスタイル代表アーティスト
1950〜60年代ムード歌謡・ジャズ歌謡美空ひばり、坂本九、フランク永井
1960年代後半グループサウンズザ・タイガース、ザ・スパイダース
1970年代フォーク・ニューミュージック井上陽水、荒井由実、吉田拓郎
1970〜80年代アイドル歌謡山口百恵、松田聖子、中森明菜
1980年代シティポップ・歌謡ポップス竹内まりや、山下達郎、角松敏生

この多様さこそが昭和歌謡の強さでもある。
「昭和歌謡が好き」と言う人それぞれが、全く異なる音楽を指している可能性があるのだ。

なぜ「懐かしいのに新しい」と感じるのか

昭和歌謡を初めて聴いた若い世代が口を揃えて言うのが「懐かしいのに新しい」という感覚だ。
これは単なる感情論ではなく、音楽的な構造に理由がある。

まず「メロディの強さ」だ。
昭和歌謡の時代、ヒット曲の条件は「一度聴いたら忘れられないメロディ」だった。
テレビとラジオが音楽の主戦場であり、数秒で聴く人を掴む必要があった。
その制約が、極めて強度の高いメロディラインを生んだ。
現代のポップスがビートやプロダクションに重心を置くのとは対照的に、昭和歌謡はメロディそのものが武器だ。

次に「コード進行の豊かさ」だ。
昭和歌謡にはジャズやクラシック音楽の影響を受けた複雑なコード進行が多い。
現代のポップスが4コードのループで構成されることが多いのに対して、昭和歌謡は曲の中でドラマチックに転調し、感情を揺さぶる構造を持っている。
YOASOBIやあいみょんの楽曲が好きな人が昭和歌謡にハマりやすいのは、この「コードの豊かさ」への感受性が共通しているからだと私は思っている。

そして「歌詞の体温」だ。
昭和歌謡の歌詞は、現代の言葉では使わないような表現が多い。
それが「古臭さ」として聴こえることもあるが、同時に「直接的な感情の言語化」として刺さることも多い。
愛・別れ・孤独をストレートに歌う言葉の強さは、SNS的な遠回しな表現に慣れた世代にとって、むしろ新鮮に響く。

TikTokと昭和歌謡──アルゴリズムが掘り起こすもの

現代における昭和歌謡の再発見に、TikTokの存在は無視できない。
アルゴリズムは「時代」を問わない。
バズるかどうかの基準は、リリース年ではなくコンテンツとしての強さだ。

西城秀樹の「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」、ピンク・レディーの「UFO」、山口百恵の「プレイバックPart2」──これらの楽曲が10〜20代のTikTokユーザーによって「発掘」され、振り付け動画やリアクション動画として拡散されている。
昭和歌謡の持つ「キャッチーさ」と「エンターテインメント性」は、ショート動画との相性が実は非常に良い。

現代アーティストへの接続──昭和歌謡のDNAを聴く

昭和歌謡は過去の音楽ではなく、現代の音楽に確実に流れ込んでいる。

あいみょんが公言している昭和歌謡・フォークへの影響は、「マリーゴールド」や「愛を伝えたいだとか」のメロディラインに明確に現れている。
YOASOBIの楽曲が持つ「サビへの溜め」と「転調の気持ちよさ」は、昭和歌謡的なドラマ構造の現代版だ。髭男dismの複雑なコード進行も、ジャズ歌謡の系譜と繋がっている。

好きな現代アーティストの「音楽的なルーツ」を辿ることが、昭和歌謡への最も自然な入口になる。

MUSINAが昭和歌謡を扱う理由

「ジャンルをまたいで、まだ知らない”好き”へ」──MUSINAのコンセプトは、時間の壁もまたいでいる。

ロックを入口にした人が、昭和歌謡のグループサウンズに辿り着く。
K-POPが好きな人が、アイドル歌謡の原型に興味を持つ。
シティポップから竹内まりやに出会い、さらに遡って荒井由実(松任谷由実)に行き着く。

昭和歌謡は、現代の音楽と地続きでつながっている。
それを伝えることが、MUSINAがこのジャンルを扱う理由だ。

次回は、昭和歌謡を代表する三人の女性アーティスト──山口百恵、松田聖子、中森明菜──を軸に、昭和アイドルという文化の本質を深掘りする。
まだ知らない「好き」が、そこにきっとある。

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