ガンズ・アンド・ローゼズはなぜ伝説なのか──ロック史上最も危険で最も美しいバンドの真実
この記事でわかること
- 01.1987年のデビューから30年以上、ガンズ・アンド・ローゼズはなぜロック史に燦然と輝き続けるのか。
- 02.『Appetite for Destruction』の衝撃から『Use Your Illusion』の野心まで、バンドの本質を語る。
- 03.ロックが最も危険で美しかった時代の証人──GN'Rというバンドの核心に迫るアーティスト特集。
ロックバンドを「危険」と呼ぶことは、今や陳腐になってしまった。
しかしガンズ・アンド・ローゼズについて語るとき、その言葉はまだ意味を持つ。
彼らは本当に危険だった。
ステージ上でも、ステージ外でも。
そしてその危険さが、ロック史上最も美しいいくつかの楽曲を生んだ。
Rock / Metal担当ライターとして、GN’Rは避けて通れないバンドだ。
今回は彼らの核心に迫りたい。
結成と初期──LAのストリートから生まれた化学反応
ガンズ・アンド・ローゼズは1985年、ロサンゼルスで結成された。
ボーカルのAxl Rose、リードギターのSlash、リズムギターのIzzy Stradlin、ベースのDuff McKagan、ドラムのSteven Adler──この5人が揃ったとき、後に「クラシック・ラインナップ」と呼ばれることになる体制が完成した。
バンド名は、Axl RoseとTracii GunsがいたHollywood Roseと、SlashとDuff McKaganがいたL.A. Gunsという2つのバンドを合体させたものだ。
LAのサンセット・ストリップのクラブシーンで鍛えられた5人は、1986年にGeffen Recordsと契約。
その後の歴史はご存知の通りだ。
『Appetite for Destruction』(1987年7月21日)──ロック史上最高のデビューアルバム
1987年7月21日リリースの『Appetite for Destruction』は、リリース当初ほとんど注目されなかった。
しかし翌1988年、”Welcome to the Jungle”のMTVでの放映をきっかけに火がつき、爆発的なヒットへと転じた。
最終的にこのアルバムは世界で3000万枚以上を売り上げ、アメリカ史上最も売れたデビューアルバムとなった。
“Sweet Child O’ Mine”はBillboard Hot 100で2週連続1位を記録した。
このアルバムが特別な理由は、数字だけではない。
グラムメタルが支配していた1987年のLAシーンにおいて、GN’Rはあまりにも生々しく、あまりにも荒削りで、あまりにも本物だった。
“Welcome to the Jungle”のギターリフが鳴り響いた瞬間、それまでのロックの「お約束」がすべて吹き飛んだ。
プロデューサーはMike Clink。
全曲がAxl Rose、Slash、Izzy Stradlin、Duff McKagan、Steven Adlerによって書かれた(”It’s So Easy”はWest Arkeenとの共作)。
『G N’ R Lies』(1988年)──アコースティックの衝撃
1988年リリースの2ndアルバム『G N’ R Lies』は、1986年のインディーズEP『Live ?!*@ Like a Suicide』の4曲と、新録の4曲のアコースティック楽曲で構成されたミニアルバム的な作品だ。
Billboard 200で2位を記録し、世界で1000万枚を売り上げた。
“Patience”はバンドの新たな一面を示したアコースティックバラードとして広く愛されている。
一方で収録曲の歌詞が物議を醸し、バンドは批判を受けることにもなった。
『Use Your Illusion I & II』(1991年9月17日)──野心と崩壊の記録
1990年にSteven Adlerがドラッグ問題によりMatt Sorumに交代、キーボードのDizzy Reedが加入した新体制で制作された3・4枚目のアルバムが、1991年9月17日に同日リリースされた『Use Your Illusion I』と『Use Your Illusion II』だ。
Use Your Illusion IIは初週77万枚を売り上げBillboard 200で1位、Use Your Illusion IもIIに続いて2位でチャートインした。
2枚合わせて30曲・合計150分以上に及ぶこの大作は、バンドの音楽的野心が頂点に達した作品だ。
ファンクメタル、政治的コメンタリー、壮大なバラードまでを含む多様なサウンドは、5人の「やりたいことを全部やる」という意志の結晶だった。
Use Your Illusion IIからのリードシングル”You Could Be Mine”はターミネーター2のサウンドトラックにも使用された。
しかし同時に、この時期はバンドの内部崩壊の始まりでもあった。
ツアー中にIzzy Stradlinが脱退、GN’Rの「クラシック・ラインナップ」は事実上終わりを迎えた。
Slashのギター──なぜ他の誰にも似ていないのか
GN’Rを語るうえで、Slashのギタープレイは欠かせない。
ロンドン生まれ、ロサンゼルス育ちのSlash(本名:Saul Hudson)が持つトーンは、Les PaulとMarshallアンプの組み合わせから生まれる独特の「歌うような歪み」だ。テクニックよりもフィーリングを優先し、一音一音に感情を込める彼のスタイルは、80〜90年代のギタリストの中でも際立った個性を持つ。
“Sweet Child O’ Mine”のイントロリフは、Slashがウォーミングアップ中に弾いたフレーズが元になっているという逸話がある。
解散から再結成まで──17年間の沈黙と復活
1993年のカバーアルバム『”The Spaghetti Incident?”』リリース後、GN’Rは事実上の活動停止状態に入った。
Slashは1996年にバンドを脱退。
その後Axl Roseは「Guns N’ Roses」の名前を保持したまま、メンバーを入れ替えながら制作を続けた。
そして2008年11月23日、なんと17年間のギャップを経て6枚目のアルバム『Chinese Democracy』がリリースされた。
制作費は1300万ドルを超えるとも言われ、ロック史上最も制作に時間とコストがかかったアルバムのひとつだ。
Axl Rose以外のオリジナルメンバーは参加していない。
そして2016年、世界中のファンが待ち望んでいた瞬間が訪れた。
Axl Rose、Slash、Duff McKaganの3人が再結成を発表。
コーチェラ・フェスティバルへの出演を皮切りに始まったワールドツアーは、その年の最高興行収入ツアーのひとつとなった。
GN’Rが残したもの
ガンズ・アンド・ローゼズがロックに残した影響は、単純な「影響を受けたバンド」の多さには収まらない。
彼らが証明したのは、「本物の危険と本物の美しさは共存できる」ということだ。
ステージ上での暴力的なエネルギーと”November Rain”の繊細さ、”Welcome to the Jungle”の攻撃性と”Patience”の柔らかさ──この矛盾した両極が一つのバンドに宿っていたこと自体が、GN’Rの奇跡だった。
グランジの台頭によって80年代のハードロックは一掃されたが、GN’Rだけは別格として語り継がれてきた。
それは彼らの音楽が「時代のコスチューム」を着ていなかったからだ。
ロサンゼルスのストリートで培われたリアリティが、どの時代に聴いても刺さる強度を持っていた。
まず聴くならこの3枚
『Appetite for Destruction』(1987年7月21日)
まずここから。”Welcome to the Jungle”、”Sweet Child O’ Mine”、”Paradise City”──何度聴いても色褪せない、ロック史上最強のデビューアルバム。
『Use Your Illusion II』(1991年9月17日)
バラードとヘヴィナンバーの振れ幅を体感するならこちら。
初週77万枚を記録しBillboard 200で1位を獲得した。
『Use Your Illusion I』(1991年9月17日)
IIを聴いたらIも。
2枚セットで聴いてこそ、バンドの野心の全体像が見える。
| アルバム | リリース日 | 特徴 |
|---|---|---|
| Appetite for Destruction | 1987年7月21日 | デビュー作、アメリカ史上最高売上のデビューアルバム |
| G N’ R Lies | 1988年 | インディーズEP+アコースティック新曲4曲 |
| Use Your Illusion I | 1991年9月17日 | 3rdアルバム、IIと同日リリース |
| Use Your Illusion II | 1991年9月17日 | 4thアルバム、初週77万枚・Billboard 200で1位 |
| “The Spaghetti Incident?” | 1993年 | カバーアルバム |
| Chinese Democracy | 2008年11月23日 | 17年ぶりの新作、Axl Rose主導で制作 |