Oasisを今から聴くなら。再結成で証明された「永遠」と、最初に聴くべき10曲
この記事でわかること
- 01.2025年に奇跡の再結成を果たしたOasis、その入門ガイド
- 02.初めて聴く人のための厳選10曲とアルバムガイド
- 03.2026年ネブワース30周年、まだ終わらない「永遠」の物語
2025年、15年の沈黙を破って奇跡の再結成を果たしたOasis。
東京ドーム公演では、初めてその名を知った若い世代から90年代をリアルタイムで駆け抜けたファンまで、5万人が一つの声になった。
「名前は知っている。曲も何となく聴いたことがある。
でも、ちゃんと聴いたことはない」——もしあなたがそんな状態なら、今がOasisに出会う最高のタイミングだ。
再結成という大きなうねりの中で、彼らの音楽は驚くほど「今」に響いている。
この記事では、Oasisをこれから聴く人のための入門ガイドとして、バンドの成り立ちから再結成ツアーの熱狂、そして最初に聴くべき10曲までを一本の流れで紹介する。
マンチェスターの労働者階級が生んだ奇跡

Oasisの物語は、イングランド北部の工業都市マンチェスターから始まる。
1991年、ボーカリストのリアム・ギャラガーを中心に結成されたバンドに、5歳年上の兄ノエル・ギャラガーがソングライター兼リードギタリストとして加入。
労働者階級の家庭で育った二人が鳴らすギターロックは、不況にあえぐイギリスの若者たちの心を瞬く間に掴んでいった。
彼らの音楽を語る上で欠かせないキーワードが、「シンガロング」だ。
複雑なコード進行や難解な歌詞ではなく、誰でも一緒に歌える普遍的なメロディ。
パブで、スタジアムで、フェスの芝生の上で——声を合わせた瞬間に生まれる一体感こそ、Oasisが世界中で愛され続ける最大の理由だろう。
1994年のデビューアルバム『Definitely Maybe』は全英1位を記録。
翌1995年の『(What’s The Story) Morning Glory?』は全世界で2,200万枚以上を売り上げ、UKロック史に燦然と輝く金字塔となった。
「ブリットポップ」の頂点、そしてネブワースの25万人
90年代中盤のイギリスでは、Blur、Pulp、Suede、Elasticaといったバンドがチャートを席巻する「ブリットポップ」ムーブメントが起こっていた。
その頂点に立ったのがOasisだ。
1996年8月、バンドはロンドン郊外のネブワース・ハウスで2日間のコンサートを開催する。
チケット申込数は約250万——イギリス全人口の2%に相当する数字だ。
25万人を前にしたこの公演は、UKロック史上最大のライブとして今も語り継がれている。

しかし、絶頂は長くは続かなかった。
3rdアルバム『Be Here Now』(1997年)以降、バンドの評価は徐々に下降。
そして何より、ギャラガー兄弟の激しい口論と衝突はバンドの内側を蝕み続けた。
2009年8月28日、パリでのフェスティバル出演直前、ノエルが脱退を発表。
「もうリアムとは一日たりとも一緒にやれない」——その一言で、Oasisは終わりを迎えた。
15年の沈黙と、「再結成はない」という呪文
解散後、ノエルは「ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ」、リアムは「ビーディ・アイ」を経てソロ活動と、それぞれの道を歩んだ。
二人とも成功を収めたが、ファンの願いは常に一つ——Oasisの再結成だった。
しかし、兄弟はメディアを通じて互いを皮肉り合い続けた。
ノエルは幾度となく「再結成はない」と断言し、リアムはSNSで兄を挑発した。
ファンにとっては希望と失望が交互に訪れる長い15年だった。
そして2024年8月27日。
Oasisの公式アカウントが一枚の画像を投稿する。
「再結成ツアー『Oasis Live ’25』決定」。
このニュースは瞬く間に世界を駆け巡り、イギリスではチケット販売サイトがパンクするほどの混乱が起きた。
何度も「ない」と言われ続けた再結成が、現実になった瞬間だった。
Oasis Live ’25——「これは訓練ではない」

2025年7月4日、ウェールズのカーディフ。
再結成ツアーの初日を迎えたステージに、ノエルとリアムが手をつないで登場した。
かつて「もう一日も一緒にいられない」と言った二人が、笑顔で。
場内スクリーンに映し出されたメッセージは「THIS IS NOT A DRILL(これは訓練ではない)」。
その言葉通り、夢ではなく現実だった。
ツアーはUK&アイルランドから北米、メキシコ、アジアへ。
そして10月25日、16年ぶりとなる東京ドーム公演が実現した。
冷たい秋雨の中、会場の外にまで響く大合唱。
チケットを手にできなかったファンたちが傘を差しながらその音を浴びていたという光景は、Oasisの音楽が持つ「壁を越える力」を象徴するエピソードとして語られている。
セットリストは全公演でほぼ固定。
しかし、それこそがOasisらしさだった。
「Wonderwall」で5万人の声が一つになり、「Don’t Look Back In Anger」で涙し、「Champagne Supernova」で夜空に溶けていく。
決して新しい演出ではない。
しかし、何度聴いても胸を打つ。それが「アンセム」の力だ。
そしてウェンブリー公演の最後、リアムは客席に向かってこう告げた。
「来年会おう」。
ネブワース初公演から30年となる2026年、再びあの地でOasisが演奏するのではないか——ファンの期待は、今も膨らみ続けている。
Oasisを今から聴くならこの10曲
ここからは、初めてOasisに触れる人のために、編集部が厳選した「最初に聴くべき10曲」を紹介する。
サブスクで聴ける楽曲ばかりなので、この記事を読み終わったらすぐにプレイリストに入れてほしい。
01. Live Forever(1994)
Oasisの精神そのものを体現する一曲。
「永遠に生きたい」という真っ直ぐな宣言は、労働者階級の閉塞感を突き破るような力強さに満ちている。ニルヴァーナの”I Hate Myself and Want to Die”への回答として書かれたというエピソードも象徴的だ。まずはこの曲から。
02. Wonderwall(1995)
世界で最も有名なOasisの曲であり、世界で最もカバーされた曲の一つ。
アコースティックギターのイントロが鳴った瞬間、世界中のどの会場でも大合唱が始まる。
「お前は俺のワンダーウォールだ」という歌詞の意味が気になったら、ぜひ自分なりの解釈を見つけてほしい。
03. Don’t Look Back In Anger(1996)
ノエルがメインボーカルを務める珍しい楽曲にして、Oasis最大の名曲。
2017年のマンチェスター・アリーナ爆破テロ後の追悼集会で市民が自然発生的にこの曲を歌い始めた出来事は、楽曲がポップミュージックの枠を超えて「人々の歌」になったことを証明している。
04. Champagne Supernova(1996)
約7分半に及ぶ壮大なクロージングトラック。
サイケデリックな音像の中、リアムの声がどこまでも伸びていく。ライブでは必ず最終盤に演奏され、再結成ツアーでもアンコールのハイライトだった。
意味がわからなくても構わない。この曲は「感じる」ものだ。
05. Supersonic(1994)
デビューシングルにして、Oasisの原点。
わずか数時間でレコーディングされたという荒削りなエネルギーは、30年経った今でも色褪せない。
「俺は完璧な存在になる必要はない。もう今の俺でいい」——そんな開き直りの美学がここにある。
06. Rock ‘n’ Roll Star(1994)
デビューアルバムの1曲目。
「今夜、ロックンロール・スターになる」と宣言するこの曲は、退屈な日常を一瞬で吹き飛ばす。
再結成ツアーでも序盤に演奏され、観客のボルテージを一気に引き上げる起爆剤だった。
07. Some Might Say(1995)
Oasis初の全英シングルチャート1位獲得曲。
楽観的でポジティブなメロディは、何度聴いてもどこか救われる気持ちになる。
「Some might say(言う人もいるかもしれないが)」というフレーズの後に続く、信じることの大切さ。シンプルだけど深い。
08. The Masterplan(1998)
B面集に収録された「隠れた名曲」。
ストリングスが美しく響くバラードで、ノエルのソングライティングの真骨頂と言えるメロディが堪能できる。
シングルのA面よりもB面に名曲が多いと言われるOasisの「裏の顔」を知るための入り口。
09. Acquiesce(1998)
リアムとノエルが交互にボーカルを務める、
ギャラガー兄弟のデュエットソング。再結成ツアーでも特に熱量の高い瞬間を生み出した一曲だ。
二人の声が重なるサビの多幸感は、喧嘩ばかりの兄弟が音楽では完璧にシンクロすることの証明でもある。
10. Stop Crying Your Heart Out(2002)
3rdアルバム以降の「黄金期の後」にも名曲は存在する。
2002年リリースのこの曲は、苦しみの中にいる人に「泣くのをやめて」と優しく語りかけるバラード。
バンドの評価が揺れていた時期だからこそ、この曲のまっすぐさがより胸に刺さる。
最初のアルバムとして聴くなら

10曲を聴いて「もっと知りたい」と思ったら、アルバムに進もう。
最初の一枚としておすすめするのは、やはり 『(What’s The Story) Morning Glory?』 だ。
「Wonderwall」「Don’t Look Back In Anger」「Champagne Supernova」「Some Might Say」——上で紹介した名曲が凝縮されたこのアルバムは、90年代ブリティッシュ・ロックの空気を丸ごと体験できるタイムカプセルのような作品だ。
全13曲、捨て曲なし。一気に通して聴いてほしい。
もう少し荒削りな初期衝動を浴びたい人には、1stアルバム 『Definitely Maybe』 を。
逆に、B面の名曲群を味わいたい人は 『The Masterplan』 がいい。
Oasisの「もう一つのベスト盤」とも呼ばれる、ファン垂涎の一枚だ。
2026年、Oasisの物語はまだ終わらない
2025年の再結成ツアーでリアムが放った「来年会おう」の一言は、単なるリップサービスではなさそうだ。
ネブワース初公演30周年となる2026年夏の凱旋ライブは、もはや公然の秘密のように囁かれている。
イギリスの上院議員がうっかり口を滑らせ、ネブワース・ハウスのオーナーも歓迎の意を示すなど、もう止まらない勢いだ。
リアムはSNSで「ツアーの前半が終わっただけだ。落ち着けよ」と語っている。
Oasisの曲名にこんな一節がある——「Live Forever」。
1994年に録音されたこの曲の願いは、30年以上の時を経て、今こうして現実になろうとしている。
もしあなたがまだOasisを聴いたことがないなら、まずはサブスクで「Live Forever」を再生してみてほしい。イントロのギターが鳴り響いた瞬間、きっとわかるはずだ。
なぜ、この音楽が「永遠」と呼ばれるのかを。