odol ONE-MAN LIVE 2026 “slow blink” レポート──渋谷WWW Xで体感した、音楽の「温度」
この記事でわかること
- 01.2026年5月23日、渋谷WWW Xで開催されたodolのワンマンライブ「slow blink」をレポート。
- 02.新作アルバムからの楽曲を中心に、初期曲も交えた18曲。トランペットを擁するサポートメンバーが作り出した音の密度と温かさ。
- 03.odolをまだ知らない人に「どんなバンドか」を伝えるための、ライブレポート兼入門ガイド。
ライブが終わって、渋谷の街に出た。
夜の空気がまだ少し肌寒かった。
でも、体の中はずっと温かかった。あの夜の音楽が、まだそこに残っていた。
2026年5月23日、渋谷WWW X。odolのワンマンライブ「slow blink」に行ってきた。
odolとはどんなバンドか
odolを知らない人のために、まず簡単に紹介する。
2014年に東京で結成されたスリーピースバンド。
ボーカル・ギターのミゾベリョウと、ピアノ・シンセサイザーの森山公稀、ベースのShaikh Sofianの3人が核になっている。
結成年にFUJI ROCK FESTIVAL ’14のROOKIE A GO-GOに出演するという早熟さで注目を集め、以来10年以上、日本のインディーシーンの前線に立ち続けてきた。
odolの音楽を一言で表すなら「静かな熱量」だと思う。
激しくない。でも、ずっと揺れている。
森山公稀のピアノとシンセが作る音の層は繊細で、ミゾベリョウの歌声はどこまでも透明だ。
その二つが重なったとき、聴いている人間の感情の、一番柔らかい部分を静かに揺さぶってくる。
『slow blink』──2年5ヶ月ぶりの新作
今回のツアーのタイトルになっている『slow blink』は、2026年4月22日にリリースされたodolの6枚目のアルバムだ。
前作『DISTANCES』(2023年)から約2年5ヶ月ぶりの作品になる。
「ときどき」「伝えて!」「光景」「電話」「休日」「曇り空」「あなたに惹かれて」「ごめんね」「不思議」の全9曲を収録。大井一彌(Dr.)、真砂陽地(Tp.)など多彩なサポートミュージシャンが参加した。
ジャケットは写真家・濱田英明がディレクションを手がけている。
開演──1曲目は「ときどき」
ほぼ定刻通りにステージが暗転した。
渋谷WWW Xのキャパシティは約500人。
スタンディングの会場に、ぎっしりと人が集まっていた。
1曲目は新作『slow blink』収録の「ときどき」。
新作のツアーらしく、まず最新の音から始まった。
続く「17」は2016年の2ndアルバム『YEARS』の楽曲で、序盤から新旧を行き来するセットリストの流れが見えた。
「三月」「電話」「休日」と続く中盤の前半は、新作曲と近年のシングル曲が中心だった。
「大人になって」(2018年)、「伝えて!」(2024年)、「幽霊」(2023年)、「今日も僕らは忙しい」(2023年)と、バンドの歴史を横断する選曲が続いた。
トランペットが加えた「温度」
この夜、特に印象に残ったのがサポートメンバーの構成だ。
通常のサポートに加えて、トランペット(フリューゲルホルン)奏者の真砂陽地が加わっていた。
これが本当に良かった。
odolの音楽は元々、ピアノとシンセが作る「鍵盤の音楽」だ。
そこにトランペットの息の音が加わることで、音に「体温」が生まれた。
機械的な精緻さと、人間の呼吸が同居する感覚。
真砂陽地は新作アルバムのレコーディングにも参加しており、ライブでも音源と地続きの音が鳴っていた。
スタジオの音とライブの音が乖離していない。
そのことが、この夜の音楽の密度を高めていた。
「幸せ?」──好きな曲が、ライブで鳴った瞬間
中盤の「退屈」「reverie」「未来」と続く流れの中で、「幸せ?」が演奏された。
2021年のデジタルEP『pre』に収録されたこの曲は、odolの楽曲の中でも特別な温かさを持っている。
好きな曲がライブで鳴る瞬間の、あの感覚。
音が会場に広がったとき、体の中に何かが流れ込んできた。
録音では感じられなかった音の厚みが、生演奏では全く違う形で届いてくる。
「幸せ?」はそういう曲だった。
古い曲が届いた瞬間
「あの頃」が演奏されたとき、会場の空気がまた少し変わった。
2015年のデビューアルバム『odol』収録の楽曲だ。
デビューから11年が経った今もセットリストに入っている。
新作のツアーでありながら、2015年から2026年までの楽曲が同じ夜に並ぶ。
その振れ幅がodolというバンドの11年の蓄積を示していた。
本編ラスト──「ごめんね」で締めた意味
「光景」「光の中へ」「あなたに惹かれて」「曇り空」と続き、本編最後は「ごめんね」。
新作『slow blink』のリード曲だ。
odolとしては珍しいギターロック的なサウンドで、現在のodolの「今ここにいる」という宣言のように聴こえた。
アンコール──「時間と距離と僕らの旅」で夜が終わった
アンコールは「不思議」「夜を抜ければ」、そして「時間と距離と僕らの旅 (Rearrange)」の3曲。
「時間と距離と僕らの旅」はodolの楽曲の中で最も多くの人に届いた曲のひとつだ。
2018年にリリースされ、2023年にリアレンジ版が配信された。
この曲でアンコールを締めたとき、この夜のすべてが一つにまとまった感覚があった。
ミゾベリョウが最後に一言だけ言った。
「ありがとうございました」。
それだけだった。それで十分だった。
セットリスト
| No. | 曲名 | 収録作品 |
|---|---|---|
| 01 | ときどき | 6th Album『slow blink』(2026) |
| 02 | 17 | 2nd Album『YEARS』(2016) |
| 03 | 三月 | Digital Single(2022) |
| 04 | 電話 | Digital Single(2026) |
| 05 | 休日 | 6th Album『slow blink』(2026) |
| 06 | 大人になって | 3rd Album『往来するもの』(2018) |
| 07 | 伝えて! | Digital Single(2024) |
| 08 | 幽霊 | 5th Album『DISTANCES』(2023) |
| 09 | 今日も僕らは忙しい | 5th Album『DISTANCES』(2023) |
| 10 | 退屈 | 2nd Album『YEARS』(2016) |
| 11 | reverie | Digital EP『pre』(2021) |
| 12 | 未来 | 4th Album『はためき』(2021) |
| 13 | 幸せ? | Digital EP『pre』(2021) |
| 14 | あの頃 | 1st Album『odol』(2015) |
| 15 | 光景 | 6th Album『slow blink』(2026) |
| 16 | 光の中へ | 3rd Album『往来するもの』(2018) |
| 17 | あなたに惹かれて | Digital Single(2026) |
| 18 | 曇り空 | 6th Album『slow blink』(2026) |
| 19 | ごめんね | 6th Album『slow blink』(2026) |
| EN1 | 不思議 | Digital Single(2024) |
| EN2 | 夜を抜ければ | 2nd Album『YEARS』(2016) |
| EN3 | 時間と距離と僕らの旅 (Rearrange) | Digital Single(2023) |
※セットリストはLiveFansの投稿データを参照しています。
odolをまだ聴いたことがない人へ
まず「時間と距離と僕らの旅」を聴いてほしい。
5分かからない曲だ。
でも、聴き終わったとき、何かが変わっている可能性がある。
それがodolという音楽の力だ。
そして余裕があれば最新アルバム『slow blink』(2026年4月22日リリース)を通しで聴いてほしい。
全9曲、約35分。
渋谷WWW Xの夜の空気が、少しだけ感じられるかもしれない。
次のライブは、odol × Ryu Matsuyama「drift」として2026年9月12日(土)に東京・キネマ倶楽部での公演が予定されている(全席指定)。